カプ厨で夢厨で厨二病で高二病なオタが好きな物を欲望のままに書いています。

2020年5月5日火曜日

果敢ない接ぎ木の花の名は

沙明←女主人公でループ中のとある一幕(いつも以上に捏造)
ちょっとだけ女主人公←沙明
いわゆる「○○しないと出られない部屋」で今回えろすアリ枡注意
三人称で沙明視点

・女主人公について
 個性ある方
 バリバリある方
 伏せるのも違和感あったので名前が出ます(サクラ)
・時々修正される誤脱等



果敢ない接ぎ木の花の名は



 目を覚ますと広い天井がある。
 おかしいことだ。
 今目を覚ました青年、沙明は共同寝室で常に休んでいるのだから。
 慌てて身を起こすと隣には船に乗り合わせた少女が安楽な寝息を立てており、周囲が清潔な白壁に囲われている以外は怪しい人間がいるわけでもなかった。出入り口と思しき扉の上部には同じ素材のパネルが設置されていたが何を書かれているでもない。
 異常事態の原因を突き止めようにも材料は足らなすぎた。仕方なく、彼はベッドを同じくする少女――サクラの肩を揺する。
「おーいサクラさん。ちょっと起きてくんねェ?」
「ねむこさん……」
 謎の単語を発しながらもサクラは上体を起こし、
「……夜這い?」
「違ェから。目ー覚ませよ、周り見ろ」
 緩やかに頭を巡らせた彼女は状況を把握し終えると嘆息と共に一言をこぼした。
「どういうことなの」
「閉じ込められたってことしかサッパリだぜ。俺もさっき起きたばっかだからな」
 髪をかき上げる沙明にサクラは首を傾げながら訝しげな指先を部屋のある一角へ向ける。それは先程目をやった何も書かれていないパネルであるが、今は様子が違っていた。文字が浮かび上がっているのだ。そして、目にしてしまえば少女がその口で告げたくなかった理由も知れてしまう。
「セックスしないと出られない部屋、だァ……?」
 うう、と頬を微かに染めるサクラをおいて、彼はひとまず扉をどうにか出来ないか試してみることにした。子細は省く。全て徒労であったという事実だけで十分だろう。
「あの、あの、本当にしないと開かない……? でも、誰がそんな判定してるのかな。カメラで見てるとか?」
「さぁな。ただまあ――やるしかねェんだろうなコレ」
「まさか! だって船の中のみんな、誰も本気でなんてしないよね、こんなこと」
 成程本気ではしないだろう。だが、と沙明は腕を組む。
「冗談でしそうなヤツ、いるか?」
 サクラはどんぐり眼を睫毛で半分以上隠し沈思する。再び顔を上げた時には慌てふためく様子は既になく、代わりに綿菓子めいて甘い声が冷静に判断を下した。
「いてもいなくても、うん。書いてある通りがいいかな。……『また条件が確認できない』し、合成プラントもないし、しょうがない」
 頷き胸に当てていた手を握りこんで彼女はまた一段頬の赤を強くした。立っていようが座っていようが沙明相手では上目遣いになる瞳がやや潤み、唇がわずかに震える。セツを思わせるような静かな表情から一転、年相応の幼さが立ち現れていた。
「あのね、あの……」
「おう」
 次に出てくる言葉は予想が付いていて、さすがに茶化す気にもなれず彼は短く先を促す。
「わたし、その、はじめて……なの。彼氏いたことも、ね、うん」
「キスもねーか、そうすっと」
「そそそそれは、諸事情で一回だけ、いっかいだけ……ちゅって」
 その擬音、つまりディープキスは未経験ということだろう。一回というのもこの慌てぶりでは大方王様ゲームの運でも悪かったといったところか。沙明は軽く頭を掻き、
「悪いな、初めてがこんな状況で」
 言動や衣服センスからして夢見がちであるのは明々白々で、それが好きでもない男と義務的に抱き合うとは全くもって不本意であろう。けれども少女は沙明の手を取るとフリルに包まれた自身の胸に「えい」と掛け声を付けてあてがってきた。
「――――」
 やわらかい。あたたかい。ついでに見た目より大きい。
 反射的に揉んだ。
「ん、んー……」
 彼の手を掴んでいる五指にやや力が入ったが拒絶はされず、ただ鼻にかかった声が引き結ばれた唇からこぼれる。あまりに手指に添う動きと柔い感触に疑問と仮定が浮かんだ沙明は揉みしだくのをやめて問うてみた。
「なァ、まさか着けてなかったりしねぇ? やべェぐらい気持ちいいんですけど」
「運動しない限りしないよう……服の方の支えであんまし揺れたりとか……」
「ギルティだわソレ。前科何犯だよサクラ」
「うちの星だと同い年くらいならみんなそうだったし……スポーツする子ならともかく。それに、コメットほどじゃないと思う」
 あれはリアルタイムで罪状累積更新中だと同意せざるを得ないが、今からコトに及ぼうとしてる男女としては――経験があるリード側としては言っておかねばなるまいと、沙明はサクラの身体を抱えるようにしてベッドに腰掛けた。やはり女の体は甘い心地がして最高だなと思いながら敢えて口にしてやる。
「確かになァ。コメットは下乳エロいわすげーコミュ力高ェわ、いい女だぜ。な?」
「う」
「夕里子もいい。あの目つきゾクゾクするぜ女王様!」
「うぅ」
「SQなんかあの――」
「あーうーおー」
「……アンダースタン? サクラ、いい子だから他の連中のコトは一旦置いとけって」
「ん」
「オッケェオッケェ、素直が一番だよなァ」
 沙明は髪をいじっていた細い手指に自身の五指を絡め、指の股から爪の先までをゆっくり撫でさする。緊張でややしっとりした手が気持ちよく、膝の上でもぞもぞ動く太ももも肉付きよく心地よい。吐息や鼻にかかった声はくすぐったさの先を感じているようで一安心だ。未通の相手を痛みなく済ませる薬品もこの環境では手に入れようがない。
 本音を言うと処女どころか実質キスすら未経験の少女にどう負担なく恙なく行為が出来るものか、彼はおおいに緊張していた。いきなり舌で舐めたり歯を立てたりするのは御法度だろう。舌を絡めた熱いベーゼで雰囲気作り――という感じでもないとなれば、こうした他愛ない接触から進めていくしかない。
「キンチョーすんなって。沙明オニーサンに任せとけばノープロブレムだぜ」
 されるがままの手指を五指を絡め合ったまま握る。サクラは肩越しに仰ぎ見て、
「お願いつかまつります……」
 おかしな言葉遣いで自身の指も緩く握った。思わず笑いながら沙明はもう一方の手で彼女の顔を更にこちらへ向けさせ、唇を重ねた。ピンクのリップに彩られた唇は見た目通りふっくらしていて、彼はついばむように何度も口付けては離し、離しては口付ける。
「甘ェな。スウィートスウィートメルティースウィート……サクラの唇は甘ェなァ」
 合間に仕掛ければ男の免疫が碌にない少女は顔の赤を強くした。
「恥ずかしいこと言うのやだー……」
「事実だから仕方ねェなー」
 言って沙明はもの言いたげな唇の隙間に舌先を滑り込ませた。驚き引っ込んだ彼女の舌を絡め取り、指にそうしたようにゆるゆると撫でる動きで落ち着かせようとしてみる。
「ん、ん……っ」
 男の膝の上、少女は腰を時折揺らめかせながら舌の動きについて行こうと試行錯誤している。
 可愛いな、と沙明は思う。見た目や喋り方からオンナを売りにしてる女に感じたが、時々出てくる変な語彙選択が面白おかしいし、ふと出てくる妙に冷静な部分もアクセントになっている。その上適度に積極的で適度に恥じらいがあって感度も悪いものじゃないのに、彼女の星の連中はもったいないことをした。
(お初が俺って、なァ?)
 彼女からは不思議と好意を感じるが、気の迷いに違いない。やはり白馬の王子様みたいなヤツが少女には似合っているだろう。ただ、
「サクラがエッチな子でオニーサン本当に嬉しいわ」
「ほんと? 沙明、わたしのこと、いいって思う?」
 ぱあっと嬉しそうな笑顔を向けてくる少女に対し、本当にクラッときてしまうのもまた事実だった。
「マジでいいぜ。つーワケで、と。エッチなサクラにはちょっと激しく行くけど、いいな?」
 サクラを膝上から下ろし、ベッドに横たえさせる。期待に震える長い睫毛にこれなら大丈夫だろうと沙明はフリルで包まれた大きな二つのふくらみをその布地から解放した。
「お……」
 我知らず感嘆の声を漏らすほど、圧倒的な質量がまろびだしてきた。幼い顔立ちからも、服を着ていたときからも想像出来ない程度に豊かで、乳暈はそこから更にぷっくり持ち上がっている。沙明はとうに立ち上がっている淡い花色の先端に思わず指を伸ばしてしまう。
「ぁん!」
 悪ィ、と謝りながら激しい嬌声に疑問を呈していた。
「自分でシたことあったり……」
 ぶんぶんと激しく横に首を振るサクラ。次いで、「ない!」と返される。そうすると感度は「悪いものじゃない」から上方修正しなければならないだろう。
(ロリ顔爆乳淫乱バージンってキャラ濃すぎね?)
 ふと、昔耳にした与太話を思い出す。最初からセクサロイドとして作られたモノではなく、敢えてヒトを――即物的には肉体改造、子々孫々と継いでいく前提としての遺伝子改良して、一部の上流階級が囲っていたとかいう低俗な三文小説みたいな噂話。こうも非現実めいた存在を見るとあながち虚偽とも言い切れなくなってくるが、まさか訊けるはずもない。というよりこの様子では何も知ってはいなかろう。
 沙明は改めてまろやかなふくらみを付け根から持ち上げ、指を沈めていく。五指で潰した通りに形が変わるなめらかな肌は、力を緩めるとすぐ元通りになってきちんと張りもある。
「そこ、なんかゾクゾクする……」
「やっぱりここイイか。こうすると、どうだ?」
 胸そのものよりも、その付け根や先の尖りが性感帯であることはまあ多い。サクラも例に漏れず脇の下から手のひらでさするように揉む動きにこくこくと肯いた。
「そ……それ、そこ、いい」
「素直なのも気持ちよくなるコツだからなァ、覚えとけよ沙明センセイの授業」
「お、お兄さんなの、先、っ、生なの?」
 胸の桜色を時々かすめる彼の指に喘ぎながら甘い声が返してくる。
「愛のハンターでどうよ?」
 細かいところを気にするなと笑いながら、焦らしていた敏感な場所を口に含んだ。立ち上がりかけていた胸の先端を舌先でつつく。それだけでサクラは沙明の頭や肩に手を当てて、離したいのか押しつけたいのか判別出来ない動きを繰り返しながら身を激しくよじらせた。
「や、急に、ヤだ、しゃーみんせん、せ、出題難易度おかし、んっ」
「つってもサクラちゃんさ、コッチでイキナリ舌使われたらもっとヒデェだろ?」
 言いつつスカートの奥に手を伸ばし布地の上から割目に一度タッチする。沙明はそこが既にやや湿り気を帯びていることに満足しながら再びサクラの、果実めいて色づいてきたものを口にした。ただし今度は先より大きく口を広げて白いふくらみから吸い上げるようにして。
「あ、待っ、て。待って、沙明。まだ胸なのに、わたし、わたし変、になっちゃう」
「いいんだぜ、胸でイって。初めてでコレ――」
 と沙明は少女の密やかな場所にある敏感なかたちに生地の上から軽く爪を立てた。
「んん!」
「お、いい反応。まあコレ以外でイけるのはなかなかないからなァ、合成プラントも使えねぇし……だから、な?」
 豊かなふくらみごと吸い上げるように乳暈もその先もいじりつつ、もう一方のふくらみの果実も指の腹や爪先で撫で、潰し、ひっかいてやる。
「あ、ァ、ダメ、ゾクゾクするの、からだのおく、しゃーみ、しゃーみん」
 吸い付くような柔らかさと押し返してくるハリを併せ持った二つの乳房を弄ぶごとに、沙明も体の芯に熱を帯び始めている自分を感じた。完全な合意とは言い難いおかしな状況の中、色事に疎そうな処女を抱くのは罪悪感も強い。
(エレクトしねェってのもマジあり得たからなー……イヤこんだけやってソレはサクラに悪すぎるし良かったわ)
 彼女が敏感を通り越して過敏なのは不幸中の幸いだろう。怯えられっぱなしで快感にほど遠い心配はない。ひたすらエロ可愛いだけだ。
「んーっ!」
 ビクビクと少女は体を震わせた。イっているのは分かっていたが、その間もしつこく胸の先に刺激を与えるのは快楽を深く長いものにするためだ。こうなると初めての挿入とはいえ奥で絶頂する可能性も高い。けれど奥で初めて覚える悦楽は他の性感帯よりとにかく大きく深く、恐怖を覚える女も多いというし、少しでも慣れさせておいた方がいいと考えたものだ。
 浅く激しい呼吸が落ち着き始めた頃、ふっくらした唇に己のそれを重ねながら彼はサクラに笑いかけ、
「目がとろーんとしてるな。可愛いぜ。イくの、すげェ良かったろ」
「うん……授業では見たことあるけど……男の人とこういうのするの、すごい……」
 自分から舌を差し出してくる彼女に応えると、最初より熱心に彼の動きに追随してくる。舌先で相手の舌の真ん中をなぞればサクラも真似してきたし、歯列をまさぐればやはりしかえしてきた。時折呼吸のために唇を離すと混ざり合った唾液が筋になる。ほとんど口でセックスしているようなものだなと沙明は苦笑しながら改めてサクラのスカートの奥に手を伸ばした。この様子なら問題ないだろうとショーツのリボンをほどき、触れられずとも腫れ上がった尖りを指の腹で潰してやる。ア、とか細い声が上がった。
「サクラはこっちもデカめでいぢめがいあるなァ。こうすっと……」
 沙明は濡れた花芽を指で挟み、また潰す。
「っ!!」
 潰した膨らみも華奢な体も、大きく痙攣した。彼女にとってはやや痛いぐらいかと少々危惧しながらだったが眼差しは変わらず情欲をたたえていて、もう挿れてしまいたいのが本音である。
(あーでもなー、広げてやった方が絶対ェ痛くないからなァ……)
 耳まで朱色に染め上げた女が腕にいる上それに反応しているのに、自分はなんという紳士ぶりなのだろう。沙明はほとほと呆れるしかない。
「……も、もう一生分の気持ちいい知った気がする……ね、沙明、もう……あの、最後までしちゃっていい、よ?」
(あークソ。――裏切れねェわ、話し合い中ならともかく……)
 だから鼻で笑いながら彼は言う。
「そうすっと間違いなく一生分の痛み知るぜ、サクラ。賭けてもいいわ」
 言って少女をベッドに横たえ、
「恥ずかしいと思うけど蹴るなよ? 沙明さんの舌技で気持ちよくしてやるから」
 男を知らない蜜穴に舌を伸ばした。
「え、えぇ、えええええ!?」
 ころんと寝かされても脚を広げられても、思考がついていかない様子で忙しいまばたきを繰り返していた彼女は事ここに至って喫驚した。思わず振り上げられた両の拳は端から力が込められたものではなかったが、沙明の頭に当たるより先に彼女の内壁を擦り始めた舌によって勢いが減衰してしまう。
「あ、ァ、そんなのするな、しゃわ、シャワーを」
 いくら全身清浄に保たれているとはいえ気分が違うのだ、という内容のことを途切れ途切れにサクラは口にする。気持ちよさと言うよりは逃れたさからだろう、何度も何度も身をよじる。
 入り口を優しく撫で、侵入を防ぐには穴だらけの膜を僅かずつ拡げ、合間に小さいながら主張してくる熟れた果実色の尖りを指で刺激する――繰り返しているうちにサクラの抵抗はすっかり弱くなって、奥からは後から後から甘酸っぱいものが溢れ出すようになった。掬いきれないそれはシーツに染みを作るほどになっている。
 そろそろいいだろうかと身を起こしかけた頃、
「……く、に、奥――」
 泣きそうにも聞こえる響きがある。顔を上げると切羽詰まった少女が何かを求めるように口を動かしていたが、彼と目が合うと恥ずかしそうに目をそらしてしまった。
「そうだよな、悪い。ちょっと焦らしすぎた……手、こうすっか」
 沙明は口元にあったサクラの左右の手をシーツの上に乗せ、お互いの五指を絡め合わせてみる。すると彼女はそらしていた目を彼に向け、幸せそうに微笑んだ。
 ――本当に。
 クラッときてしまう。
「……今から挿れるけど、痛かったらすぐ言えよ。無理してもいいことねェぞ」
「う、うん」
 少女の返事を待って彼はゆっくり身を埋め始めた。丁寧に丁寧に拡げはしたものの、何せ体事態が小柄で細っこい。痛みはさほどなさそうだったが圧迫感自体はどうしようもないのだろう、お腹いっぱいに、と腰を浅くくねらせている。
「サクラ、気持ちいいトコとかあるか?」
 初めての娘に難しいとは思いつつ一応尋ねてみる。果たして答えは返ってきた。
「おへ、そ? お腹……のおへそ側が、ゾクゾクするかも……他も何か、でも、よく分か、分かんない……」
「マジか、いや、マジでイイ子だなお前」
 素の状態の膣内は鈍感だ。初めてだとどう工夫しても痛むか違和感に苦しむのに感じることも上手く出来ないのは、ヒトという生き物の欠陥だろうと沙明は常々思っている。もちろん普段なら合法の薬品がいくらでも使えるのだが。
「入ってるだけでと来たかー……将来有望すぎて脱帽よ」
(変な男にヤリ捨てされたりしなきゃいいけどな――ってソレ正に今じゃねェ?)
 怪訝なサクラを放置して一人しみじみ肯いた後、せめて思い切り気持ちよくはしてやろうと心に決めて、
「つーワケで、ちっと激しくいくわ」
「へ? わたし初めて――」
 見開かれたどんぐり眼は彼が内壁のやや上側を強く擦り上げた瞬間戸惑いに揺れる。沙明はここかと確信を得、重点的にそこを責めることにした。言葉通り奥から入り口までを繰り返し味わった方が彼としては最高なのだが、サクラにとっては遠くにある快感を捕まえることが出来ないまま、押し拡げられる圧迫感とゾクゾクする違和感に苦しめられて終わってしまうことは想像に難くない。
 よく濡れた蜜穴の中、やや腫れぼったくもあるそこを押し上げられるたびに少女の指が行き場なくうごめく。せっかく恋人めいて五指を絡め合っているのだから男の手を握りしめてしまえばいいものを、と何故かもどかしく思いながらしつこく一点をいじりつづけているうち甘い吐息がサクラの唇から零れだした。
「良くなってきたみてェだな」
「うん、ん、んぅ……でも、でもね……」
 止められない喘ぎを恥ずかしいのかこらえようとして、彼女は時折下唇に歯を立てながら不安を口にした。
「さっき、まで、と違……ぁ、こわ、くて、イく、の」
「膣内でイくのは他と比較になんないぐらい気持ちイイって言うぜ、サクラ」
 だからこそ既に怖さを覚えているのだろうが、
「怖いなら。ホラ、力入れてろよ手に」
 怯える少女の手指を、先程から彼は握りしめているのだ。
「こ、こう……?」
 細い五指はようやく沙明の手に応えてきた。別段鍛えているでもない彼ですらポキリと折れそうな儚さがあるくせに、体温は彼より高く感じる。熱いと思う。
「――うん、可愛いな」
「っア、いき、ぐりぐり、強ッ――」
 握り返された手指を更に強い力で握り返し、青年は男のモノを受け入れだした少女の内側を更に強く早く小刻みに刺激する。驚いたのだろう、彼女は一層力を込めて彼の手を握りしめた。
 あ、から始まる高い声と、嬌声を抑えきれず鼻から抜ける媚びる音、どちらも堪えようとして喉奥で響く細い声。サクラはその間にしゃーみんしゃーみんと舌足らずに彼を呼ぶ。少女らしくふっくらした頬がサクランボ色に染まっていた。
「っちゃ、イっちゃ、気が。やだ……ここでイくの、なんか、こわい」
 長い睫毛に縁取られた大きな瞳が潤んだ。今にも涙が見えそうなほどで、沙明は反射的に頬へ唇を落としている。
「ナカでイくのが一番気持ちいいから、な?」
 だからこそ不安がっているのは分かるのだが彼に言えるのはそれぐらいしかない。
 というか、もうそろそろ限界が近く余裕がなくなってきていた。小柄で処女な割にサクラの内部は男をキツすぎない程度に捕らえ搾り取ろうとしてくるし、しかも目線を下げるとよくふくらんだ胸が突き上げられるたび上下に勢いよく跳ねているし、蕩けた声音で名前を連呼されているし。
 意識しないよう意識しないよう気を張っているのも辛いものだ。
「うん。……うん、がんば、る。気持ち、良く……して」
「…………」
 ぎこちなく何度も肯く健気な姿に、ちょっと堪えが聞かなくなった。
「サクラ」
 名を呼び、一度入れていたモノのほとんどを引き抜いた。かろうじて入り口に頭の部分が引っかかっている状態から、
「中、出すぜ」
 最奥まで一息で貫いた。
「ん、んぅ――ッ!」
 膣内を激しく蠕動させながら腰を逸らす彼女の中にどろりとした液を叩きつけるように注いでいく。考えていたより長く多く量が出たそれを受け止めるたびに腰を浅くくねらせる様は酷くそそって、意味をなさない音を零す唇に自分の唇を重ね合わせた。彼女のまなじりから生理的なものだろう、涙が伝っている。沙明はそれも唇で掬う。
 浅く早く上下していた胸がやや落ち着いた頃、
「しゃーみん……」
 サクラは雲上を歩いているような声色で彼を呼んだ。
「あのね、まだ指の先の方までじんじんする……気持ちいいって感じ、残ってるの。頭の芯にも……」
「怖くても頑張って良かったろ?」
「ん。わたし初めてなのにこんな出来ちゃうなんてすごいね、沙明」
 幾千の星でも瞬いているようなきらきらしい瞳に「すごい」の一語が浮かんで見えるようだったが、どう考えても、
「いやァこれはサクラちゃんが特別優秀な生徒だから。他じゃこうはなんねェよ」
 気遣いはしたわけだが、痛いものは痛いし、それを無くしても異物感まではなかなか削ぎきれない。
 やはり思い出されるのは、幼少期にふと耳にする機会があった負の歴史である。
 昔むかし、星間移動や移植にまだ時間がかかった頃散々トラブルになったのは、時間物資なども無論そうだったけれど性処理などもそうだった。そこで生まれたのはセクサロイドに任せる向きと、元から色事に携わっていた人間の遺伝子操作の向き。
「こーいうのが特別優秀なのは、どうなんだろう?」
「サクラはマジフェアリーだからマズいだろ。ギャップでヤバい。ソレばれたら危ねェことにしかならないから――」
 しかし少女に直裁に切り込むのははばかられて、沙明はこう言うことにした。
「――付き合ったヤツが信頼出来ると思えるまで、手ー出させるなよ?」
 酷い矛盾だと内心苦笑する。
 名前の通り頬を桜色に染めた彼女はちょっと笑って首を傾げた。
「じゃあ……ドアを施錠しなおして、もう一回講義をお願いします、沙明せんせ?」
「え」
 リアリィ、とすら口にする余裕もなく目を丸める男に対し、裸身でぺとぺとロックを確認しに行く背中は笑みを濃くして振り向くのだった。
「わたしね、……好きだよ。沙明のこと」
 反応を返すことも出来なくなった彼を尻目に、
「あ、どろって……せーりじゃないはず、わわっ、垂れてきちゃった……あーほんとに開いてるー……うん、再ロックよし、じゃなかったオッケェー」
 とろりと白いものを零しながら戻ってきた少女は眉尻を落としながら男にするりと腕を絡める。
「わたしね、信頼してるの。沙明のこと」
「お前……」
 反射的に柔い肉体を抱きすくめた沙明に、サクラは長い睫毛を半分伏せて呟く。
「だいすき、沙明」
 つややかな唇は震えながら彼の頬に押し当てられて、
「……こたえなくって、いいからね。代わりにあと一回、あと一回だけ――」
 多分、それぐらいしか時間が無いから――。
 沙明には分からない言葉を落とす表情はやけに大人びて、意味を問うことを拒絶しているように思われた。けれど肌身に触れる冷たい指先に切実さを覚えてしまう。結局は、断り切れない。
 サクラの甘く敏感な肉に、もう一度だけ彼は溺れた。
 
 
 
 
 
 目を覚ますと広い天井がある。
 おかしいことだ。
 今目を覚ました青年、沙明は共同寝室で常に休んでいるのだから。
 慌てて身を起こすと周囲が清潔な白壁に囲われている以外は怪しい人間がいるわけでもなかった。出入り口と思しき扉の上部には同じ素材のパネルが設置されていたが何を書かれているでもない。
 異常事態の原因を突き止めようにも材料は足らなすぎた。仕方なく、彼はベッドから大儀そうに上体を起こした。
 果たしてドアはロックされていたし、向こう側に人の気配は感じない――そもそも防音レベルの高い船なのだが。
「……おーいLeVi?」
 と声をかけてもしばらくは返事もなかった。
 すっかり諦めてベッドに転がりなおした頃、
『あぁもうジョナス様は!!』
 なる、擬知体らしからぬ怒りの声が部屋中に響き渡った。
『沙明様、発見が遅れて申し訳ありません。ジョナス様が昔仲間内でドッキリに使っていたシステムが急に作動して――それの解除の仕方を今の今まで思い出せなかったのです』
 なんてこと、と腹を立てているLeViに彼は軽く頭を掻いた。
「オイオイ、なんつー悪趣味だよあのオッサン。いやチームメイトの誰かかよ、おかげで俺たちが……いやまあサイコーな時間でしたよ?」
『……? こちらでは沙明様の生体反応しか感じませんが、他にどなたがいらっしゃるのでしょうか。いえ、乗員の皆様は把握しているはずで――』
 沙明は白い部屋を見渡す。言われてみればその通り、彼はずっとこの部屋で起きて確認して諦めて寝て、を繰り返していたのではないか。最高どころか最低、バッドタイムもいいところだ。
 夢と現実が混ざったか、と鼻を鳴らして立ち上がる。
 ふと花の香りを覚えてもう一度部屋を見回すが、白い部屋にはアロマどころか造花もない。
 それでも何故か名残惜しくある。
 当たり前のように開いたドアの手前で振り返り、沙明は部屋の中心、ちょうどダブルベッドがある場所を見つめたが、もう何も心を過りはしない。
 それでもやはり――離れがたかった。